Xiaomiから発売されているMi 10 Youth Edition (Mi 10 Lite Zoom)を入手したのでレビューしようと思う。本機は3万円代と低価格な製品でありながら「ペリスコープ」タイプの望遠カメラを搭載しているのが特徴。
光学5倍の望遠カメラは写真撮影で最大50倍のズームを使用できるほか、マクロ撮影や48MPモード、超広角撮影まで備えた挑戦的な使用となっている。
なお、私が入手したモデルは中国版なので通常、日本語やGoogleサービスは利用できない。
もくじ
Mi 10 Youth (Mi 10 Lite Zoom)のスペックなど

Mi 10 Youth Editionはグローバル名称でMi 10 Lite Zoomになるとされている。設定画面の本体情報には Youth EditionでもMi 10 Lite Zoomとなっていた。
基本情報
OS | Android10(MIUI11) |
SoC | Snapdragon765G |
RAM | 6GB 8GB |
ストレージ | 64GB 128GB 256GB UFS2.1 |
重さ | 192g |
高さ | 164.02mm |
幅 | 74.77mm |
厚み | 7.98mm |
画面 | 6.57インチ 有機EL |
解像度 | 1080x2400 |
画面密度 | 401ppi |
バッテリー容量 | 4,160mAh |
充電能力 | 有線 22.5W 無線 - |
Wi-Fi | 802.11a, b, g, n, r, ac |
Bluetooth | 5.1 |
防水 | - |
デュアルSIM | ○ |
eSIM | - |
シムフリー | ○ |
FeliCa | - |
SDカードスロット | - |
フルセグ / ワンセグ | - |
イヤホンジャック | ○ |
生体認証 | 画面内指紋認証 顔認証 |
技適 | - |
カメラスペック

①マクロ | 2MP ƒ/2.4 |
②超広角 | 8MP ƒ/2.2 1/4.0" |
③広角 | 48MP ƒ/1.8 1/2.0" |
④望遠 | 12MP ƒ/3.4 |
ズーム | 光学5倍 デジタル50倍 (動画撮影時10倍) |
デプス(深度)カメラ | - |
フロントカメラ | 16MP |
バリエーションと価格
スタンダードの最小構成だと3万円少々で購入できる。この価格なら気軽にお試し可能だ。
6GB / 64GB | 2,099元 (約31,700円) |
6GB / 128GB | 2,299元 (約34,700円) |
8GB / 128GB | 2,499元 ($37,700円) |
8GB / 256GB | 2,799元 (約42,200円) |
参考ページ
対応バンド
- D(docomo)
- A(au)
- S(SoftBank)
- R(Rakuten)
4GLTEバンド
Mi 10 Youth Edition | |
---|---|
BAND 1 (2100) (D・A・S) | ○ |
BAND 3 (1800) (D・S・R) | ○ |
BAND 8 (900) (S) | ○ |
BAND 18/26 (800) (A・R) | - |
BAND 19 (800) (D) | - |
BAND 21 (1500) (D) | - |
BAND 28 (700) (D・A・S) | - |
BAND 41 (2500) (A・S) | ○ |
BAND 42 (3500) (D・A・S) | - |
▲バンド18や19には非対応となるので、docomo / au / RakutenのSIMは使いにくい。1 / 3 / 8に対応なので、SoftBank (またはMVNO)やY!mobileのSIMと相性がよさそうだ。
5G対応バンド
Mi 10 Youth Edition | |
---|---|
n77 (D・A・S・R) | - |
n78 (D・A) | ○ |
n79 (D・A) | ○ |
n257 (D・A・S・R) | - |
▲ミリ波には非対応だが5Gに対応し、日本ではn78とn79がマッチする。ただし、実際に使えるかは試してみないとわからない。
各キャリアのLTEバンド重要度
- ◎ : 重要
- ○ : できれば欲しい
- △ : あればいいがなくてもOK
| docomo | au | SoftBank | Rakuten |
Band 1 (2.0GHz) | ◎ | ◎ | ◎ | - |
Band 3 (1800MHz) | ◎ | - | ◎ | ◎ |
Band 8 (900MHz) | - | - | ◎ | - |
Band 18/26 (800MHz) | - | ◎ | - | ◎ |
Band 19 (800MHz) | ◎ | - | - | - |
Band 21 (1.5GHz) | △ | - | - | - |
Band 28 (700MHz) | △ | △ | △ | - |
Band 41 (2.5GHz) | - | △ | △ | - |
Band 42 (3.5GHz) | ○ | ○ | △ | - |
日本の5G主要バンド
Sub6
n77 | docomo au Rakuten SoftBank |
n78 | docomo au |
n79 | docomo |
ミリ波
n257 | docomo au SoftBank Rakuten |
ベンチマークスコア
ハイエンド端末には及ばないものの、十分なスコアが出る。ゲームプレイも問題なさそうだ。
Antutu Ver8
Geekbench 5
商品リンク
Banggood(中国モデル)
Mi 10 Youth (Mi 10 Lite Zoom)の外観
正面(ディスプレイ)
▼ディスプレイは6.57インチのフラットタイプ。画面内には指紋センサーが内蔵されている。

Mi 10 Youthには標準で保護フィルムが貼り付けされているが、貼り替え時も苦労しないだろう。
フロントカメラ

▲フロントカメラは水滴型ノッチ内に設置される。カメラ上部には目立たない小さな通話用スピーカーホールが並び、内部には通知LEDが一つ備わる。
また、カメラ右側には近接センサーが設置されている。
ディスプレイ点灯状態

▲Mi 10 Youthのディスプレイは発色の良い有機EL。上部と左右のベゼルは細いが、下部は若干太目のベゼルとなっている。
背面
▼背面はガラス素材、サイドは金属で良質な質感となる。

ボディカラーも大変美しく、値段以上のクオリティを味わえる。
メインカメラ

▲目玉機能となるカメラは"クアッドカメラ"。小さな被写体から遠くの被写体まで、1台のスマホで撮影できるロマンあふれる仕様だ。
- マクロ
- 超広角
- 広角
- 望遠
上部
▼有線派にはうれしいイヤホンジャックを搭載。また、IRセンサーを使ってTVやエアコンなどを操作できるのがおもしろい。

- イヤホンジャック
- マイク
- IRセンサー
下部
▼下部にはUSB端子やスピーカーが並ぶ。下から見ても、とてもきれいな色合いだ。

スピーカーは端末下部のみとなり、モノラル仕様となっている。
- スピーカー
- マイク
- USB Type-C
SIMトレー

▲デュアルSIMに対応し、SIMを2枚セットできる。残念ながらSDカードには非対応となる。
Mi 10 Youthは防水には非対応だが、SIMトレーには防水パッキンのようなものが確認できた。Mi 9Tなどと同様に、防水非対応ながら内部構造は防水仕様になっているのかもしれない。
右側
▼右側にはボリュームボタンと電源ボタンが配置。カメラ部は突出しているものの、付属ケースを装着すると気にならなくなるレベル。

左側
▼左側にボタン類はなし。側面もとても美しい。

Mi 10 Youth (Mi 10 Lite Zoom)のカメラで撮影
カメラ性能を確認
マクロ

▲マクロ撮影では被写体に近づいてもピントが合うため、細かなディティールを捉えることができる。 普段できないような写真を撮影できるのでとても面白い機能だが、Mi 10 Youth Editionに搭載のマクロカメラは画質がいまいちだった。
望遠

▲続いて望遠性能を確認する。飛んできたヘリを撮ってみた。

▲10倍程度までであれば、それなりに綺麗に残すことができる。スマホ単体で航空機が綺麗に撮影できて面白い。
50倍

▲飛行機を50倍で撮影。

▲さすがに50倍はぼやける。
超広角

広角

望遠(5倍)

望遠(10倍)

望遠(50倍)

▲これが3万円のスマホで撮影できる写真と考えるととても面白い。
Galaxy S20 Ultraと比較
「ペリスコープ」を搭載したズームがすごいスマホといえば「Galaxy S20 Ultra」や「P40 Pro」だろう。この章ではGalaxy S20 Ultraのカメラと比較してみた。
超広角


▲超広角では空の色の違いや、若干の画角の違いが見られた。S20Uでは、少し画角が広く、空が青く表示されるのでSNSで使いやすい。
Mi 10 Youthは実際見ている景色と近い色合いになった。
広角


▲こちらも両端末とも、超広角同様の味付けという印象だ。
望遠(5倍)


望遠(10倍)


▲10倍ズームではMi 10 Youthがややシャープで、山の色合いがきれいだ。S20Uはソフトな感じだが、きれいに写せている。
望遠(30倍)


▲30倍でもMi 10 Youthはシャープな味付けとなっている。ただ、やや荒い印象だ。
望遠(50倍)


▲Mi 10 Youthの最大値である50倍。30倍よりさらに荒くなった。S20Uは高画素のカメラを使ったハイブリッドズームなので若干きれいという感じ。
望遠(100倍)

▲S20Uの最大値100倍。最大まで行くとかなりぼやけるが、ここまで拡大できる。画像を見比べてどちらがいいとは一概にいえないが、3万円代のMi 10 Youthでも十分なズーム性能があることがわかった。
高画素モード


▲108MPモードと48MPモードも比較してみた。撮影した写真の一部を同じくらいの大きさに拡大してみると、Mi 10 Youthの48MPモードがきれいに撮影できていた。
月


▲月での撮影はどちらも似たような仕上がり。Mi 10 Youthは少し月の周りがぼんやりしている。
ナイトモード


▲ナイトモードではS20Uが力を発揮した。さらに、Mi 10 Youthでは標準カメラのみナイトモード対応のところ、S20Uは超広角と望遠でもナイトモードに対応する。
Mi 10 Youth (Mi 10 Lite Zoom)のGood / Badなところ

Goodポイント
- 5G対応
- 高い質感
- 高機能カメラ
- 豊富なカスタマイズ
- 良好な指紋認証感度
- 赤外線リモコン機能
5G対応
Mi 10 Youth Editionはローエンドな価格帯の製品でありながら、5Gにも対応する。
高い質感
ボディの素材や色合い、各部ボタンにくりぬき部分など、どの部分も非常に美しい。非常に高い質感を味わえる仕上がりとなっている。
高機能カメラ
最大50倍のカメラがなんといっても最大の魅力。マクロや超広角、48MPのカメラなど、低価格で高性能を楽しめる。
豊富なカスタマイズ
Mi 10 Youth Editionでは、豊富なカスタマイズにより自分が使いやすいものに設定することができる。
Botton shortcuts
▼Additional setttingsの「Botton shortcuts」項目。

この設定では以下のようなカスタマイズをおこなってみた。
- 電源ボタン2回押しでカメラ起動
- ホームボタン長押しで画面オフ
- 履歴ボタン長押しで2画面表示
- 戻るボタン長押しで懐中電灯
Quick ball
▼この機能では、ナビゲーションバーなどの機能を扇状メニューに割り当てできる。

▼このようなメニューで操作できる。

ボタンはカスタマイズ可能。ナビゲーションバーをオフにする「Full screen display」を有効にすると片手モードの「One-handed mode」が表示できないが「Quick Ball」を使えば呼び出しできる。
この機能で「フルスクリーンジェスチャー」と「片手モード」を共生させることができた。
良好な指紋認証感度
▼画面内に内蔵された指紋認証。反応がよく、使い勝手は良好だ。

赤外線リモコン機能

▲Galaxy Note3などでも搭載されていた「IRセンサー」で、エアコンなどを操作可能。Mi 10 Youtu Editionでは「Mi Remoteアプリ」で操作できる。
Badポイント
- 対応バンド
- ギャラリーのUI
- マクロカメラの画質
- 画面下部の縁が大きい
- ディスプレイのにじみ
- 動画撮影中のカメラ切り替え不可
対応バンド
Mi 10 Youth Editionでは、docomoが使用するバンド19やau、Rakuten(パートナーエリア)で使用するバンド18/26には非対応となる。
ギャラリーのUI
標準搭載のギャラリーで写真を閲覧すると、情報やメニューボタンの帯が大きく表示される。横画面で写真を表示すると、大部分が隠れてしまう。

▼Galaxyでは半透明で表示される。

Mi 10 Youthでは写真の全容を確認するには画面をタップして、メニューを消す必要があるのが少々使いにくさを感じるところ。
マクロカメラの画質
マクロカメラを使って撮影すると、プレビュー状態と保存後の写真に差がある。プレビュー状態では綺麗に見えるのだが、撮影後、保存された写真を見ると若干出来が悪い。
▼プレビューでは全体がはっきりしていたが、保存後は少しボケた印象。

画素数が低く、少し拡大すると荒くなりがちだったり、照度が低い環境ではノイズが入りやすいのが気になるところ。
▼屋外など、ある程度の明るさがあればノイズは気にならなかった。

▼200万画素のカメラに過度の期待は禁物。

だが、被写体にグッと近づいたおもしろい撮影ができる。
画面下部の縁が大きい

画面両側や上部は狭額縁となっているが、下部は他と比べると少々大きめの額縁となっている。
ディスプレイのにじみ
斜めに傾けてディスプレイを見るとほんの少し虹色に見える。ただ、普段使いで気になることはなさそうだ。
動画撮影中のカメラ切り替え不可
動画を撮影している最中にズームしようとしても、デジタルズームのみになってしまう。カメラの切り替えには撮影を一旦停止させる必要がある。
カメラを切り替える際は一旦撮影を停止し、超広角や望遠を選択してから動画撮影する必要がある。
おわりに:値段の割りに楽しめるスマホ
価格の割に質感が高く、5Gにも対応。Snapdragon765Gは処理能力も十分にある。
そして、ペリスコープによる高性能なズーム。Galaxy S20 Ultraと比較してもそこそこいい写真が撮影できた。
対応バンドやマクロの画質などやや残念なところはあるが、とても面白い製品に仕上がっている。Mi 10 Youth Edition (Mi 10 Lite Zoom)はコストパフォーマンスがとても高い製品だ。
中国版はGoogleサービスの導入や日本語化などが面倒なので、自信がない人はフローバル版を待つのがおすすめ。
レビュー参考になります。
動画撮影に光学ズームを有効にできますか?
さかなさん、コメントありがとうございます。
動画撮影中でもペリスコープの望遠カメラを使用できます。
ただ、撮影中に望遠に切り替えすることはできず、標準カメラで撮影を始めたら標準カメラのデジタルズームのみを使用することになります。
ですので、あらかじめ望遠カメラにしてから撮影を始める必要がありますし、ズームアウトで標準カメラに移行することができないです。
比較に用いたGalaxy S20 Ultraでは、動画撮影中でも超広角から望遠まで切り替え可能ですし、20倍までズームすることができます。
Mi 10 Youth Editionではカメラ切り替えできず10倍までになってしまいます。
高額な端末と比較するともちろん弱点はありますが、3万円代でペリスコープというのはやはりすごいです。
質感もとても良好ですし、カラーもすごく綺麗なので、満足度は高いスマホとなっています。
ご回答ありがとうございました
購入する決心がつきました(笑)
お役に立ててよかったです^^
ズーム性能を楽しんでもらえればと思います。