高性能なCPUを搭載しつつ割安な「Mac mini 2018」を「iPad Pro 12.9インチのアクセサリ」として導入。
iPad Pro 12.9インチはマウスの正式対応やMagic Keyboardの登場でさらにPC寄りの使い方ができるようになった。しかし、まだまだPCがないとできないちょっとした作業などが発生するケースがある。
問題を解消するために考えたのが「Mac mini 2018」と「Luna Display」の導入だ。iPad Pro 12.9インチと組み合わせてiPadをメインモニターとして使い、macOSを使うことができる。
また、高性能なCPUを使ってSwitchエミュレーターによるゲームの動作具合もテストしてみた。
この記事では上記に加えMac mini 2018の質感や、いいところ・いまいちなところをレビューする。
Mac mini 2018のスペックや製品リンク

基本情報
※2020年現在の情報。オプションはAppleでの購入時に選択可能。
Core i3モデル | Core i5モデル | |
CPU | Core i3 3.6GHz 4コア Core i7 3.2GHz 6コア(オプション) | Core i5 3.0GHz 6コア Core i7 3.2GHz 6コア(オプション) |
メモリ | 8GB 16GB(オプション) 32GB(オプション) 64GB(オプション) | 左に同じ |
ストレージ | 256GB 512GB(オプション) | 512GB 1TB(オプション) |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 630 | 左に同じ |
接続端子 | HDMI × 1 Thunderbolt(USB-C) ×4 USB 3.0 × 2 Ethenet × 1 | 左に同じ |
通信 | Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac Bluetooth 5.0 10/100/1000BASE-T 10Gb(オプション) | 左に同じ |
サイズ | 19.7 × 19.7 × 3.6cm | 左に同じ |
重量 | 1.3kg | 左に同じ |
電源 | 100V ~ 240V AC | 左に同じ |
価格 | 91,800円(税込) | 124,080円(税込) |
Apple公式の仕様
ベンチマークスコア(Core i5)
私が購入したのはCore i5, メモリ8GB, SSD256GBのモデル。十分に満足のいくスコアとなった。
Geekbench 5

CINEBENCH R20

AmorphousDiskMark

ドラゴンクエスト Ⅹベンチマーク

製品リンク
新品 Core i3モデル
新品 Core i5モデル
Mac miniの掘り出し物はこちら
Mac mini 2018の外観
本体外観
上部

▲アルミニウムボディで、カラーは「スペースグレイ」一色となる。本体上部にはおなじみのAppleロゴがあしらわれる。
▼Macシリーズでは一番安価だが、ボディの色合い、質感ともにAppleの高品質を味わえる。
下部

▲下部の樹脂製プレートには「Mac mini」の刻印。メモリ増設の際はここからアクセスする。
前面

▲前面右下には動作LEDランプのみが備わる。動作中は白いLEDが点灯する。
側面

▲本体側面は両側ともにフラット。シンプルながら美しい形状だ。
背面

▲Mac miniの各種ポートは全て背面に備わる。
- 電源
- 有線LAN
- USB-C × 4
- HDMI
- USB-A × 2
付属品
付属ケーブル

▲Mac miniの付属品である電源ケーブルはシリコンのようなラバー素材で覆われる。柔らかく手触りがよく、このような部分までよい質感となっている。
コネクタ部

▲差し込み部分の形状もかわいらしいデザインになっているのが特徴だ。
iPad ProをMac mini 2018のモニターに
Mac mini 2018を使って一番にやりたかったのが「iPad Pro 12.9 2018のメインモニター化」。高性能なiPad Pro 12.9のディスプレイを使って超シンプルかつ、タブレットにもなるデスクトップPCにしてみた。
MacBook 12インチで試した時の問題
iPad Proからの再接続ができない
以前、MacBook 12インチと「Sidecar」を使ってiPad Proをモニター化した。動作中は問題なかったがスリープ後はiPad側から再接続することができず、MacBookの操作なしでスリープから復帰することができなかった。
USBが1つしかない
また、スムーズに動作させるにはiPadとMacをUSB接続させる必要がある。MacBook 12インチには1つしかUSBポートがないので、充電併用時はUSBハブを用いる必要がある。
USBハブを使うとケーブル周りが煩雑となり、スマートさを損なってしまう。
用意したもの
iPad Pro 12.9 2018
手持ちのiPad Pro 12.9 2018をディスプレイとして使用する。
Mac mini 2018
上記の問題を解決するために考えたのが「Mac mini 2018」をiPad Proの「本体」とすること。Mac mini 2018にすることでMacBookと比較して以下のようなメリットを享受できる。
- CPUが高性能
- USB-Aポート搭載
- 複数のUSBポート搭載
- 最小限の構成で購入できる
Luna Display
macos Catalinaより使用できるようになった「Sidcar」では、iPad側からの操作で接続ができない。Luna DisplayだとMac miniで「ヘッドレスモード」で使えるとのことで試してみた。
▼Luna Displayには2タイプある。Mac mini 2018ではUSB-Cタイプを使う。
USB-C to Cケーブル
Luna DisplayはWi-Fiによる無線接続もできるが、有線接続だと遅延が少ない。Mac mini 2018のUSB-CポートiPad Pro 12.9 2018のUSB-Cポート間を結ぶケーブルを用意。
▼一般的なC to Cケーブル。
▼横置き、横持に最適なL型。
iPad ProとMac miniの設置と接続
iPad Proの設置
うまい具合に設置する方法はないかといろいろ試行錯誤し、Smart Coverをモニターアームに引っ掛けると目線の高さに設置できた。

掛けているだけなので、取り外しするときも楽。とりあえずこれでOK。
Mac miniの設置
面積の小さなデスクの上に置くとMac miniといえどかなり邪魔になる。そこでデスク下に設置できないかと考え、以下のようになった。

私のデスクではたまたまこのようなことができた。一般的なデスクなら後述のアクセサリ章にあるスタンドをつかって立てたり、モニター裏に設置する固定金具を用いれば見えないところに設置できる。
接続
接続はとても簡単で、iPad Pro 12.9 2018とMac mini 2018をUSB-Cケーブルで接続。Luna DisplayをUSB-Cポートに接続すれば完了。

動作確認と問題点
Sidecarより軽快な動作
早速動作確認をしたところ、軽快な操作感を得られた。Luna Displayによる操作感はApple純正機能である「Sidecar」より軽快なものだった。

また、アイコン表示の色合いなどがSidecarでは若干おかしいところがあったが、Luna Displayの使用では一般的なディスプレイと同じようなきれいな発色を得られた。
アプリの自動起動
macOSにインストールしたLuna DisplayのアプリはmacOSが起動すると自動で起動してスタンバイ状態となる。そのため、macOSを再起動をしても再びiPad側から接続することができた。
問題点
iPad ProとLuna Displayを使ったシンプルデスクトップPC構想はほぼ成功だった。しかし、以下のような問題点もあった。
- BootCampでは使えない
- 起動画面は表示できない
- セットアップにはモニターが必要
- スリーブ解除/再起動の度iPadから接続
「BootCamp」にて時々Windowsを使用するが、執筆時点では使用できなかった。2020年中にWindowsでも使えるように開発が進んでいるようだが、現状は「Parallels」のような仮想デスクトップを使うか、別途モニターを使う必要がある。
また、一般的なモニターを接続している際は、起動中にリンゴマークとプログレスバーが表示される。しかし、Luna DisplayはmacOSが起動しないと使えないので起動中の画面やリカバリーのメニューなどは表示できない。
そしてLuna DisplayのアプリをiPadとMacにインストールしておく必要があるが、この時はMacにディスプレイを接続してアプリをあらかじめインストールしてからディスプレイを外す必要があった。
スリープ解除時や再起動時はiPadのLuna Displayアプリを起動して再接続してやる必要がある。面倒ではあるが、SidecarではMac側の操作が必要であったのがそれが必要なくなり、快適性は上がった。
時々Mac側でアプリが自動起動しないときがあるなど、いまいちなところもあるが面白いPCに仕上がった。
Mac mini 2018でYUZUを試す
Mac mini 2018でもう一つ試してみたかったのが、高性能なCPUでどれくらいSwitchのエミュレーターが動作するのかということ。「YUZU」はまだまだ開発中で不安定なタイトルのほうが多いが、軽いものならMac miniでも遊べそうだった。


環境
- バージョン:609
- Early Accsess
- マルチコア:有効
- ASYNC:有効
- DOCK:無効
- OpenGL
- ドライバアップデート
- メモリ:32GB
- CPU:Core i5
- 音声:モニタースピーカー
- 本体スピーカー使用不可
使用したコントローラー
小さくて持ち運びにも優れたワイヤレスコントローラー。USB-Cポート搭載で有線接続にも対応。
動作が軽快になるマルチコア設定は「Early Accsess」版のみ使用可能。Early Accsessの使用は「パトロン」と言われる寄付を毎月$5以上支払った者が対象となる。
動作を確認したタイトル
試したタイトル
タイトル | 動作 | 備考 |
スーパーマリオ オデッセイ | △ | しばらくすると落ちる |
ゼルダの伝説ブレス オブ ザ ワイルド | △ | とても重い しばらくすると落ちる |
ポケットモンスター レッツゴーピカチュウ | 〇 | 軽快 |
ポケットモンスター ソード | △ | しばらくすると落ちる |
ウルトラストリートファイターⅡ | ◎ | 軽快 一部モードで落ちる |
あつまれどうぶつの森 | 〇 | Vulkanは落ちる |
▼参考リンク:YUZU互換性リスト
実機のように軽快な動作やグラフィックを出すことは難しいが、ポケモンなど軽いタイトルであればスムーズに動作するものもあった。
当ブログでは「YUZU」自体の解説はしないので、興味がある人は検索してみてほしい。
eGPUでパワーアップ!

Mac mini 2018は「Thunderbolt 3」を搭載しており、グラフィックス性能を強化できる「eGPU」を接続可能だ。「Razer Core X」に「GeFoce GTX 1070Ti」のグラフィックボードを搭載し、Mac mini 2018と接続したところ大幅なグラフィックス性能の向上がみられた。
「YUZU」では安定性や、動作速度が大きく上がることを確認できた。
※macOSでの使用には「Radeon」のグラフィックボードが必要。
Mac mini 2018のGood / Badなところ

Goodポイント
- とても静音
- 接続ポートが豊富
- 洗練されたデザイン
- 高性能なCPUを搭載
- 好きな外部機器を選べる
- macOS, Windowsが使える
- メモリ増設が自分でできる
とても静音
デスク下に設置していることも手伝って、少しくらい負荷がかかった程度ではあまりファンの音は聞こえない。MacBook Proなどではファンの高音やパームレストに伝わる熱が気になるが、Mac miniではこれらがないのが大きなメリットだ。
接続ポートが豊富

Mac mini 2018ではUSB Type-Cポートが4つ、USB Type-Aポートが2つ備わっている。有線マウスやキーボード、USBメモリにスマホなど、多数の機器を同時接続できて便利だと感じた。
Type-Cポートでは、モバイルモニターへの映像出力やType-A to CアダプタでのUSBメモリ使用などができることを確認。
洗練されたデザイン
Apple製品といえば洗練されたデザイン。Mac miniもスペースグレーのアルミニウムをまとった美しいボディとなっている。
高性能なCPUを搭載
Mac miniは一般的なノートパソコンに搭載されるCPUより高性能なCPUを搭載している。そのためMacシリーズの中で、比較的安価に高い処理性能を手に入れることができる。
好きな外部機器を選べる

Mac miniにはモニターもキーボードも付属しておらず単体では使用することができない。しかし、既にモニターやキーボードを所有している人や、気に入った製品を組み合わせたい人には不要のもの。
Mac miniは付属品がないため、安価にて高い処理性能とmacOSを入手することができ、外部機器も自分で選ぶことができる。
MX MASTER 3
HHKB Professional BT
macOS, Windowsが使える

Macでは「BootCamp」という仕組みが備わっており、Windowsも使用することができる。Windows PCでも「Hackintosh」という方法でmacOSを使う方法があるが、機器が限定されたり動作も不安定なものとなる。
Macでは難しい設定をしなくともmacOSとWindowsの両方を楽しめるようになっている。また「Parallels」を使えば、再起動なしにmacOS上でWindowsを使うこともできる。
メモリ増設が自分でできる

MacBookシリーズでは自分でメモリ増設をすることはできないが、Mac miniであれば分解方法さえわかれば自分でメモリ増設できる。オプションで割高なメモリを選択しなくても、Amazonなどで安価にメモリを購入可能だ。
32GB
64GB
開腹工具
▼交換方法は下記を参考とした。
Badポイント
- GPUが貧弱
- 内蔵スピーカーが貧弱
- SDカードスロットなし
- 内蔵ストレージ交換不可
GPUが貧弱
GPUはiMacやMacBook Proとは違い専用GPUを搭載せずCPU内蔵グラフィックとなる。とはいえ、特別なことをしなければ内蔵GPUでも十分な性能がある。
さらに、eGPUにも対応しているので、満足できない場合は外付けGPUボックスなどを検討できる。
内蔵スピーカーが貧弱
内蔵されているスピーカーはとても音質が貧弱なものになる。ただし、スピーカーを用意せず、単体で音声が確認できるのはGood。
▼我が家で使用しているスピーカー
SDカードスロットなし
2014年モデルまでは搭載されていたSDカードスロットは非搭載。SDカードの読み込みには、カードリーダーなどを用いる必要がある。
カードリーダーは汎用品の他、後述のアクセサリで専用品のものを紹介している。
カードリーダー
USB-C ハブ
SDカード
microSDカード
内蔵ストレージ交換不可
Mac mini 2018の内蔵ストレージはロジックボード直付け仕様となっている。そのため、2014年モデルまでのようにユーザーが交換することは難しい。
内蔵ストレージが足りない場合は外付けストレージでの対応が必要だ。
USB-C接続外付けポータブルSSD
USB3.0接続外付けHDD 4TB ~ 14TB
Mac mini用アクセサリ
Mac mini専用ドック
Mac miniと同じ寸法で作られたぴったりサイズの専用品。Type-C接続で高速、SDカードスロットもあり。
VESAマウント
モニター背面にVESA規格のねじ穴があるものであれば、金具で固定することができる。配線など全て隠れるのですっきりだ。
スタンド
Mac miniを立てるための専用スタンド。デスクのスペース確保に。
おわりに:使い方の自由度が高いMac
Mac miniはiMacのようにモニターやマウス / キーボードが付属せず、MacBookのように持ち運ぶこともできない。しかし逆に考えると、周辺機器は自分の好みに合ったものを選択でき、MacBookシリーズより割安で高性能な処理能力を手に入れることができる。
少々特殊であるがMac miniとiPad Pro × Luna Displayを併用すれば、タブレットにもなるデスクトップPCとして使える。さらに、iPad Pro用「Magic Keyboard」があれば、ノートPCとしてライトな屋外作業もこなせる。

iPadOSのタブレットとしての扱いやすさと、外出先でのライトな作業、そして、Mac miniのおかげで自宅では本格PCとしても使えるようになった。Mac miniは小さくとも高い処理能力と広い拡張性のある、頼もしく面白い使い方もできるPCだ。